2019年10月25日金曜日

8 訪問看護のこと知っていますか?

介護において医療系サービスは大きな存在。
中でも訪問看護は、住み慣れた家で安心して暮らすための強い味方です。

日常的な目線で課題を見つけて改善


 訪問看護は、看護師などが利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいた看護サービスを提供するもの。入浴や排せつなど日常生活の介助から医療ケアまで、仕事は多岐にわたります。
 内丸病院訪問看護ステーションの鎌田眞紀さんに話を聞きました。
 「病院の看護とどこが違うのと聞かれることがありますが、看護する場所がご自宅になっただけで、やる内容は全く同じ。ただ訪問時間内はその方ひとりに集中できるというのが訪問看護の特徴でしょうか」と、病院勤務の経験もある鎌田さんは話します。
 「自宅におじゃまして、日常の目線で観察するからこそできることもあります。毎日の暮らしの中で改善していく、あるいは良好な状態を維持することが訪問看護のあり方かもしれませんね」
 逆に訪問看護だからこそ気をつけなければならないこともあるといいます。
 「利用者さんにとって、住み慣れた自宅にいるという安心感は大きい。ただ、家に知らない人が入ってくるストレスもあります。その壁を取り除き、何でも言ってもらえるような関係作りがとても重要だと思います」



内丸病院訪問看護ステーションの
管理者の鎌田眞紀さん。
訪問看護はとてもやりがいの
ある仕事だと話します

家族のケアも訪問看護師の役目


 利用者が希望する形でできるだけ長く在宅生活を送るためには、家族のケアも欠かせません。
 「ご家族の相談に乗ったりアドバイスをするのも訪問看護師の仕事ですから、遠慮せず頼ってほしいですね」と鎌田さん。
 現在の介護は、さまざまな職種の人が連携して行っています。訪問看護師は「医療」と「介護」の橋渡しとしても重要な存在です。
 「ヘルパーさんやケアマネさんと課題を共有したり、主治医の先生に情報を伝えるのも私たちの役割。こういう連携で支えていることをもっと知ってもらえたら、ご家族の安心にもつながるかもしれませんね」

■訪問看護ステーション


 訪問看護ステーションは介護保険法に基づき、都道府県知事の指定を受けて運営する事業所。看護師、准看護師などが常勤換算で2.5人以上いることが条件。理学療法士、作業療法士などリハビリの専門職を擁する事業所もあります。
利用者の主治医から出された訪問看護指示書によって、サービスを提供。介護保険のほか、医療保険などの公的保険が適用されます。

7 お金の管理について少し考えてみましょう!

介護を考えるとき、お金の問題は大きな関心事。人によって千差万別なのでひとくくりにはできませんが、こんな方法もあるというヒントをお届けします。

まずは本人の意思を尊重すること

 加齢とともにお金の管理が困難になるのは、誰にでも起こりうること。そんな時どうしたらいいのでしょうか? シニア向けにさまざまな啓もう活動も行っているファイナンシャルプランナーの大久保名美さんに話を聞きました。
 「子どもに迷惑をかけたくない、自分のお金でなんとかしたいという親世代の方は多いですが、なかなかスムーズにいかないことも出てきます」
 認知症などで判断力が低下すると、資産の管理や不動産の売買、介護施設の入居などの契約を、自分の力で行うことができなくなるかもしれません。
 「そのためにも、元気なうちに自分はどうしたいのかを家族で話し合っておくことがとても大事だと思います」と大久保さん。
 どのように暮らしたいのか、資産はどうするのかなどの確認は、後々のトラブルを避けるためにも重要。でもいざ実行に移すとなると難しそう。
 「エンディングノートを利用するのもひとつの方法です。資産の項目は必ず入っているし、過去の出来事を書く欄を設けているものもあります。家族の歴史を振り返りながら、みんなで書いてみようと促してみるのもいいですね」
 お金の問題はその人の尊厳に関わること。まず本人の意思を尊重してほしいと大久保さんは話します。



FPの大久保名美さん。
介護予防やお金をテーマにした人気の漫談師「福々亭ナミ子」という別の顔も

「成年後見制度」と「家族信託」について

 お金の管理を支えるための制度も、知っておくと安心です。
 「成年後見制度」は、判断能力が衰えた人の財産を守るため、家庭裁判所が選んだ後見人等が契約行為などをサポートする制度。判断能力が不十分になってから申し立てる「法定後見」と、意識がはっきりしているうちに本人が後見人を定める「任意後見」があります。
 「家族信託」は、家族など信頼できる人に財産を委託し、目的に従って管理・処分してもらう制度。成年後見制度より柔軟性があるということで注目が高まっていますが、認知症を発症してから組むことはできません。
 いずれも司法書士事務所や弁護士事務所で相談可能。各地で開かれる、法律相談会や相続相談会などを利用するのもいいかもしれません。


「日常生活自立支援事業」について


お金の管理については、次のような事業もあります。
「日常生活自立支援事業(愛称・あんしんねっと)」は、高齢者や障がいを持った方が地域で安心して生活が送れるよう、福祉サービスの利用手続の援助や代行、日常的な金銭管理などを行う事業で、社会福祉協議会が実施しています。
対象は、認知症高齢者、知的障がい者、精神障がい者などで、判断能力に不安がある方。利用にあたっては、社会福祉協議会の担当者が自宅等を訪問して必要性等を確認し、審査のうえで本人と利用契約を結び、サービスを提供します。サービスは有料で、1回1時間あたりおおむね1300円。詳しくは問い合わせを。

●問い合わせ/岩手県社会福祉協議会 地域福祉企画部 
生活支援相談室 TEL. 019-637-8863


6 デイサービスはどこも同じと思っていませんか?

「富山型」を実践する一軒家のデイサービス

 デイサービス(通所介護)はどこも同じ。しかも、介護保険のルールによってサービスに細かい決まりがあると思っていませんか?
 少し極端な言い方ですが、制度上定められているのは、スタッフの人員配置と設備の基準のみ。運営内容は事業所に任されており、サービスに独自の特徴を打ち出すところも増えてきています。
 そのなかでもちょっとユニークなデイサービスを紹介しましょう。
 盛岡市みたけにある「デイサービスきさいや」は、築40年余りの木造家屋を利用したデイサービス。縁側やふすまもそのままの、なんとも家庭的な雰囲気です。
 きさいやは、赤ちゃんからお年寄り、障がいのあるなしに関係なく受け入れる「富山型デイサービス」を実践。代表の末廣光揮(すえひろみつき)さんがその理念に共感し、4年前にオープンさせました。
 一日に決まったプログラムはなく、その時に合わせて臨機応変。
 テレビを見たりおしゃべりしたり、懐かしい歌をうたったり。天気がよければ散歩やドライブに出かけることも。昼食も献立から調理、後片付けまで、みんなで決め、それぞれができることをやるというスタイルです。
 ここで大事にしているのは日常。「庭の草が気になれば草むしりする。日々の暮らしそのものが、その人らしくいられる証ですよね」と末廣さんは話します。


知り合いの家でのんびり過ごす雰囲気。
「きさいや」とは、末廣さんの故郷・
愛媛の言葉で「おでんせ」という意味だとか


開かれた空間。ご近所さんが気軽に出入り

 きさいやは、地域とのつながりも大きな特徴。オープン当初、興味津々で訪れた子どもたちがきっかけで、さまざまな人が出入りする環境が生まれたといいます。
 放課後やって来る近所の小中学生、地域の催しの打ち合わせに集う人たち。利用者と訪問者の隔てなく、いろんな人がいて当たり前というコンセプトを実現しているように見えました。
 規模やサービスなど、デイサービスにはいくつもの選択肢があります。ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談しながら探してみてくださいね。


キッチンではさまざまなミーティングも。
正面の男性が、認知症カフェの代表の野中さん


認知症カフェの会場にも
 きさいやは、地元の人たちが月に1回開いている認知症カフェ「カフェ・ド・みたけ」にも場所を提供しています。コーヒー片手に、自由に話せるカフェは、誰でも参加自由。
●開催日時/毎月第1日曜 10時〜14時
●参加費/200円
●問い合わせ/石蕗(つわ)の会 野中 TEL.019-641-7580

■デイサービスきさいや
盛岡市みたけ6‐11‐40
TEL.019-656-8172



5 介護の「事業所」って何を指すの?

今回のお題は「事業所」。何気なく使われる日常的な言葉ですが、介護の世界では、状況によって使い方が少し異なるようです。

介護保険ではサービスごとに1事業所

 介護の話題の中で「事業所」という言葉をよく耳にしますが、事業所とは何を指しているか考えたことはありますか? ヘルパーさんのいるところ、介護関係の何か、と漠然としたイメージでとらえている人も多いかもしれません。
 介護関連でいう事業所とは、基本的に介護サービスを提供する事業所すべてを指します。これは事務所とか施設とか、いわば「所在地」としての意味合いですね。
 少し別の角度から見ると、介護保険適用のサービスでは、その指定を受けたサービスの種別ごとに1事業所と数えます。
 たとえば、「○○ヘルパーステーション」という事業所が、「訪問介護」と「訪問型サービス」の指定を併せて受けている場合は、その事業所数は2つと数えられます。
 ときおり一つの事業所で複数の事業所名が書かれた看板を目にすることがありますが、それはこうした背景からです。


ケアマネジャーがいる、指定居宅介護支援事業所

 もうひとつ忘れてならないのが、「指定居宅介護支援事業所」。
 ケアセンター、ケアプランセンターとも呼ばれ、ケアマネジャー(介護支援専門員)が配置されている事業所です。
 要支援・要介護者が適切な介護サービスを受けられるよう、相談、介護保険申請、ケアプランの作成、サービスの手配・調整等を行います。
 この居宅介護支援事業所も、介護保険法に基づくサービスのひとつ。介護保険サービスの要ともいえる役割を担っています。

介護サービスと事業所の関係がわかりにくい?

 ところで、市町村などが発行している介護サービス提供事業所一覧を見たことはありますか? 文字どおり介護サービスと事業所のリストですが、わかりにくくて困ったという声も聞かれます。
 その理由として挙げられるのが、介護サービスが正式名称で書かれていること。訪問介護が「○○ヘルパーステーション」、通所介護が「○○デイサービス」といった事業所名を見て、やっと内容がわかったという人も多いようです。
 介護サービスについて自力で調べたいとなった場合、ここがかなりの難所。正式名称と通称のギャップは、とくにはじめて介護に直面する人にとっては結構高いハードルといえそうです。
 指定居宅介護支援事業所のケアマネジャーや、地域包括支援センターなどで相談しながら事を進めるのがおすすめです。

【介護保険サービスの名称と通称(一例)】
◎訪問介護/ホームヘルプ
◎通所介護/デイサービス
◎通所リハビリテーション/デイケア
◎短期入所生活介護/ショートステイ
◎認知症対応型共同生活介護/グループホーム

4 「普通の生活」を支えるホームヘルパー

 ホームヘルパーは利用者の自宅を訪問し、さまざまな支援を行う在宅介護の専門職。どんな役割を担っているのか、岩手県ホームヘルパー協議会会長で現役ヘルパーの千葉則子さんにお話を聞きました。


社会福祉法人 盛岡市社会福祉協議会
盛岡駅西口ヘルパーステーション
統括主任ヘルパー 千葉則子さん


 「昔は何から何までやってあげるのがホームヘルパーの仕事とされていましたが、今は、利用者さんのできるところは継続してできるよう支援するという考え方が主流です。
 生活するうえで大変なところに少し手を貸せばその方の暮らしが成り立っていく。料理でも掃除でもできるところは一緒にやりましょうというのを、ケアプランにも組み込むことができるようになっています」
 自宅で密に接するからこそできる提案もあり、それが、その人らしく自立した生活に結びつくと千葉さんは話します。そして、ホームヘルパーとのかかわり方についてこんなアドバイスも。
 「気になることは、すぐその場でおっしゃってください。こんなこと言ったら気を悪くするんじゃないかしらと心配する方もいますが、遠慮なく言っていただいた方が私たちもありがたいのです。それで改善できる事もあるわけですからね。
 また、ご家族がヘルパーを希望してもご本人が嫌がる場合もあります。そんな時は、まず1回試してみようくらいの気持ちで始めてはいかがでしょう」
 ホームヘルパーの支援内容は制度できちんと決められています。対応できない要望を出されることはありませんか?
 「そんな時はケアマネさんと相談して、介護保険以外で利用できる支援や有料サービスなどを提案することもあります。できないからと言って投げっぱなしにはしませんよ」
 この仕事をしていてよかったと思うのはどんなところですか?
 「実は私、この仕事を嫌だと思ったことは一度もないんですよ。その方がご自宅で過ごす最後の部分に深くかかわれるのがホームヘルパー。できるだけ長く、その方らしく生活できる場を守ってあげたいと思っています」

ホームヘルパーとは?
 介護職員初任者研修等の修了者や介護福祉士の資格を持つ専門職。訪問介護サービスには「身体介護」と「生活援助」の2種類あり、家族構成などで受けられるサービスが異なります。
【身体介護】食事、排せつ、身体清拭、体位交換、移動、外出、起床就寝、着替えなど
【生活援助】掃除、洗濯、買い物、調理、配膳、ベッドメーク、衣類の整理など

3 ケアマネジャーの仕事をもっと知りたい!

介護保険法に基づく専門職

 ケアマネジャーとは介護支援専門員の通称。公的資格を有し、介護保険制度の要ともいわれる専門職です。
 その役割をひと言でいうと、要介護者等が自立した生活を送るための支援をすること。介護保険を適切に使うことが重要な鍵となります。基本の仕事内容を簡単にまとめてみましょう。
 まず取り掛かるのが、利用者及び家族に面談し、状況を把握する「アセスメント(課題分析)」。それをもとに「サービス計画(ケアプラン)」原案が作られ、利用者、家族、サービス事業者らを交えた「サービス担当者会議」を開きます。
 ケアプランが決定すると、ケアプランに沿ってサービスが開始されます。健康状態やサービス状況を確認するため定期的に自宅を訪ねる「モニタリング」も大事な業務です。
 利用者や家族の様子に常に気を配り、専門知識と経験を駆使して利用者と向き合います。


ケアマネジャーに必要なものは?

ケアマネジャーになるには、「介護支援専門員実務研修受講試験」を受けますが、そこには受験資格が設けられています。
 医療・保健・福祉分野の国家資格を有する人。または医療・保健・福祉分野の相談業務に一定期間従事している人。個人の領域に踏み込むデリケートな仕事だけに、相応の資質と経験が求められています。
 試験は年1回。合格者には合格通知と一緒に介護支援専門員実務研修の案内を送付。この実務研修を修了してはじめて介護支援専門員証が交付され、実務につくことができます。
 ケアマネジャーの資格は5年ごとの更新制で、更新の際には研修受講が必須。常に研鑽が求められる仕事といえるのです。


相談支援がケアマネジャーの仕事
公益社団法人 岩手県看護協会
指定居宅介護支援事業所盛岡
所長 三浦和枝さん


まず家に入れてもらうこと。
それが私たちの第一歩です

 介護保険が始まる前、高齢者福祉は「措置」という形でした。今は利用者自身の選択が尊重されます。それ自体は素晴らしい事ですが、権利として主体的に動くことが求められます。
 そのお手伝いをするのが、私たちケアマネジャーです。
 何に困っているのかをすくい上げ、介護保険サービスにつなげることで少しでも生活が改善される。それが私たちの目指すところです。
 そのためには、ぜひなんでも相談していただきたい。利用者さんとご家族に受け入れてもらえるよう、努力を重ねていきたいと思います。


2 「施設」は種類が多くてわかりにくい?

種類は?

ひと言でいうと、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすための「総合的な相談窓口」。盛岡では市から委託を受けた法人が事業を行っています。
 盛岡市内には9つの地域包括支援センターが、おおよそ日常生活圏に1つの割合で設置されています。名称はセンターごとに任されていますが、地名や事業母体の名前に由来しているところが多いですね。






探すには?

多種多様な施設のなかから、希望に沿うものを探すにはどうしたらいいでしょう?
 すでに要介護認定を受けているなら、担当のケアマネジャーに相談するのがいちばん。地域包括支援センターも相談に応じてくれます。インターネットの検索サイトや、友人知人、ご近所さんの口コミも有力な情報源です。
 条件に合う施設を絞り込んだら直接連絡を取り、できれば見学や体験入居をしてみましょう。
 施設のとらえ方は人によってさまざまかもしれませんが、お年寄りが安心して暮らしていくための「生活の場」であるという視点で、一度考えてみてはいかがでしょうか。

※公的施設とは、地方公共団体、社会福祉団体、医療法人を含みます

1 介護を支える仕組みを知ろう!

 介護に対する関心は年々高まっていますが、複雑でわかりにくいというイメージも拡大。新シリーズ「介護のキホン」は、多くの人が感じる疑問に答えながら、介護に関する身近な情報をさまざまな角度から取り上げます。そしてそれが、ケアする側とケアされる側の橋渡しとなり、よりよい介護に結びついていったら、こんなにうれしいことはありません。

さまざまな力が連携してバックアップ


介護に対する理解を深める第一歩として、現在の介護を支える仕組みをざっくりと見てみましょう。
 平成12年(2000)施行の介護保険制度によって、さまざまな介護サービスが受けられるようになりました。高齢者が住み慣れた場所で安心して暮らすための制度ですが、「よくわからない…」という声も聞かれます。
 左下の表に、介護保険で受けられるサービスを種類ごとにまとめました。
 介護保険サービスは、大きく「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3種類に分かれ、そこからさらに細かく分かれていきます。
 漢字が多くて難しそうですが、デイサービス、ショートステイ、グループホームなどの通称が使われているものもあります。それならわかる、という人もいますよね?
 介護保険サービスを利用するには、住んでいる市町村に要介護認定の申請が必要。地域包括支援センターが、手続きの相談に応じてくれます。
 制度を動かしているのは人の力。各分野の専門職が、介護保険サービスをサポートしています。
 ケアマネジャーは専門知識を生かし、ケアプランの作成、利用者と家族の相談・アドバイス、介護サービスの手配など、幅広く活動しています。
 ホームヘルパー等の介護職員は、食事や排せつなどの身体介護、掃除、洗濯などの生活援助を行い日常生活をサポートします。
 医療系では医師・歯科医師、看護師が訪問サービスを行っています。薬剤師も自宅を訪問し、薬の飲み方の相談やアドバイス等を行います。
 リハビリテーションや介護福祉士等の福祉系専門職も、介護にはなくてはならない存在です。
 さらに医療、地域、福祉の各分野が連携し、地域包括支援センターが相談窓口として機能することで、総合的に介護をバックアップ。このネットワークこそが、いま私たちが目にしている介護の「全体像」といってもいいのではないでしょうか。




■介護サービス情報の公表
岩手県内の介護サービス事業所、地域包括支援センター、住まい、医療機関等の検索ができます。「介護サービス情報の公表 岩手」検索

どんなことでも、まずは相談窓口へ


介護が必要になったとしても、何から手を付けたらいいかわからないというご家族もいらっしゃるでしょう。そんなときは、まず相談窓口を訪ねてみてください。
 総合的な窓口としては、生活圏域に1ヵ所整備されている地域包括支援センターがいちばん身近な存在です。困っていることは何か、どうしたいのかを聞き取りながら、家族と一緒に方策を考えていきます。
 その際、大きく関わってくるのが介護保険サービス。介護保険は複雑で難しいと感じている方も多いかもしれませんが、専門職のスタッフに説明してもらいながら少しずつ整理していけば、具体的な道筋が見えてきます。
 自宅での生活を希望するのか、施設入所を希望されるのかなど大まかなところを決め、それにはどんなサービスが使えるのかといった具合に話を進めるのもよいかもしれません。
 あまり知られていませんが、ケアマネジャーが所属する「居宅介護支援事業所」でも介護相談を受け付けています。居宅介護支援事業所は数が多いので、自宅や勤務先から行きやすいところを選んで行ってみてはいかがでしょうか。場所や連絡先は、県の「介護サービス情報の公表」サイトで探すことができます。
 地域包括支援センターも居宅介護支援事業所も、相談は無料。電話でも受け付けています。
 介護保険サービスは定期的な改正により、理解、把握が大変ですが、さまざまな専門職がサポートする体制になっていますので、一人で悩まず、抱え込まずにまずは相談から。ケアマネジャーを上手に活用してもらえればと思います。




岩手県介護支援専門員協会
盛岡地区会長 西尾卓樹さん