2019年10月25日金曜日

7 お金の管理について少し考えてみましょう!

介護を考えるとき、お金の問題は大きな関心事。人によって千差万別なのでひとくくりにはできませんが、こんな方法もあるというヒントをお届けします。

まずは本人の意思を尊重すること

 加齢とともにお金の管理が困難になるのは、誰にでも起こりうること。そんな時どうしたらいいのでしょうか? シニア向けにさまざまな啓もう活動も行っているファイナンシャルプランナーの大久保名美さんに話を聞きました。
 「子どもに迷惑をかけたくない、自分のお金でなんとかしたいという親世代の方は多いですが、なかなかスムーズにいかないことも出てきます」
 認知症などで判断力が低下すると、資産の管理や不動産の売買、介護施設の入居などの契約を、自分の力で行うことができなくなるかもしれません。
 「そのためにも、元気なうちに自分はどうしたいのかを家族で話し合っておくことがとても大事だと思います」と大久保さん。
 どのように暮らしたいのか、資産はどうするのかなどの確認は、後々のトラブルを避けるためにも重要。でもいざ実行に移すとなると難しそう。
 「エンディングノートを利用するのもひとつの方法です。資産の項目は必ず入っているし、過去の出来事を書く欄を設けているものもあります。家族の歴史を振り返りながら、みんなで書いてみようと促してみるのもいいですね」
 お金の問題はその人の尊厳に関わること。まず本人の意思を尊重してほしいと大久保さんは話します。



FPの大久保名美さん。
介護予防やお金をテーマにした人気の漫談師「福々亭ナミ子」という別の顔も

「成年後見制度」と「家族信託」について

 お金の管理を支えるための制度も、知っておくと安心です。
 「成年後見制度」は、判断能力が衰えた人の財産を守るため、家庭裁判所が選んだ後見人等が契約行為などをサポートする制度。判断能力が不十分になってから申し立てる「法定後見」と、意識がはっきりしているうちに本人が後見人を定める「任意後見」があります。
 「家族信託」は、家族など信頼できる人に財産を委託し、目的に従って管理・処分してもらう制度。成年後見制度より柔軟性があるということで注目が高まっていますが、認知症を発症してから組むことはできません。
 いずれも司法書士事務所や弁護士事務所で相談可能。各地で開かれる、法律相談会や相続相談会などを利用するのもいいかもしれません。


「日常生活自立支援事業」について


お金の管理については、次のような事業もあります。
「日常生活自立支援事業(愛称・あんしんねっと)」は、高齢者や障がいを持った方が地域で安心して生活が送れるよう、福祉サービスの利用手続の援助や代行、日常的な金銭管理などを行う事業で、社会福祉協議会が実施しています。
対象は、認知症高齢者、知的障がい者、精神障がい者などで、判断能力に不安がある方。利用にあたっては、社会福祉協議会の担当者が自宅等を訪問して必要性等を確認し、審査のうえで本人と利用契約を結び、サービスを提供します。サービスは有料で、1回1時間あたりおおむね1300円。詳しくは問い合わせを。

●問い合わせ/岩手県社会福祉協議会 地域福祉企画部 
生活支援相談室 TEL. 019-637-8863


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