2019年10月25日金曜日

1 介護を支える仕組みを知ろう!

 介護に対する関心は年々高まっていますが、複雑でわかりにくいというイメージも拡大。新シリーズ「介護のキホン」は、多くの人が感じる疑問に答えながら、介護に関する身近な情報をさまざまな角度から取り上げます。そしてそれが、ケアする側とケアされる側の橋渡しとなり、よりよい介護に結びついていったら、こんなにうれしいことはありません。

さまざまな力が連携してバックアップ


介護に対する理解を深める第一歩として、現在の介護を支える仕組みをざっくりと見てみましょう。
 平成12年(2000)施行の介護保険制度によって、さまざまな介護サービスが受けられるようになりました。高齢者が住み慣れた場所で安心して暮らすための制度ですが、「よくわからない…」という声も聞かれます。
 左下の表に、介護保険で受けられるサービスを種類ごとにまとめました。
 介護保険サービスは、大きく「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3種類に分かれ、そこからさらに細かく分かれていきます。
 漢字が多くて難しそうですが、デイサービス、ショートステイ、グループホームなどの通称が使われているものもあります。それならわかる、という人もいますよね?
 介護保険サービスを利用するには、住んでいる市町村に要介護認定の申請が必要。地域包括支援センターが、手続きの相談に応じてくれます。
 制度を動かしているのは人の力。各分野の専門職が、介護保険サービスをサポートしています。
 ケアマネジャーは専門知識を生かし、ケアプランの作成、利用者と家族の相談・アドバイス、介護サービスの手配など、幅広く活動しています。
 ホームヘルパー等の介護職員は、食事や排せつなどの身体介護、掃除、洗濯などの生活援助を行い日常生活をサポートします。
 医療系では医師・歯科医師、看護師が訪問サービスを行っています。薬剤師も自宅を訪問し、薬の飲み方の相談やアドバイス等を行います。
 リハビリテーションや介護福祉士等の福祉系専門職も、介護にはなくてはならない存在です。
 さらに医療、地域、福祉の各分野が連携し、地域包括支援センターが相談窓口として機能することで、総合的に介護をバックアップ。このネットワークこそが、いま私たちが目にしている介護の「全体像」といってもいいのではないでしょうか。




■介護サービス情報の公表
岩手県内の介護サービス事業所、地域包括支援センター、住まい、医療機関等の検索ができます。「介護サービス情報の公表 岩手」検索

どんなことでも、まずは相談窓口へ


介護が必要になったとしても、何から手を付けたらいいかわからないというご家族もいらっしゃるでしょう。そんなときは、まず相談窓口を訪ねてみてください。
 総合的な窓口としては、生活圏域に1ヵ所整備されている地域包括支援センターがいちばん身近な存在です。困っていることは何か、どうしたいのかを聞き取りながら、家族と一緒に方策を考えていきます。
 その際、大きく関わってくるのが介護保険サービス。介護保険は複雑で難しいと感じている方も多いかもしれませんが、専門職のスタッフに説明してもらいながら少しずつ整理していけば、具体的な道筋が見えてきます。
 自宅での生活を希望するのか、施設入所を希望されるのかなど大まかなところを決め、それにはどんなサービスが使えるのかといった具合に話を進めるのもよいかもしれません。
 あまり知られていませんが、ケアマネジャーが所属する「居宅介護支援事業所」でも介護相談を受け付けています。居宅介護支援事業所は数が多いので、自宅や勤務先から行きやすいところを選んで行ってみてはいかがでしょうか。場所や連絡先は、県の「介護サービス情報の公表」サイトで探すことができます。
 地域包括支援センターも居宅介護支援事業所も、相談は無料。電話でも受け付けています。
 介護保険サービスは定期的な改正により、理解、把握が大変ですが、さまざまな専門職がサポートする体制になっていますので、一人で悩まず、抱え込まずにまずは相談から。ケアマネジャーを上手に活用してもらえればと思います。




岩手県介護支援専門員協会
盛岡地区会長 西尾卓樹さん



0 件のコメント:

コメントを投稿